こちらもお金持ちのお屋敷と勘違いしてしまう、東京ならではの門構え。
やはりこのタイプのお寺は、入りづらいです…。



完全に慣れてはいるものの、「ピンポン」を押して、門を空けてもらうのは勇気が要ります。
たぶん巡礼者の訪問には慣れていらっしゃるので、どこのお寺も気持ちよくご対応をしてくれます。
…が、訪問セールスっぽくて、あまり好まないです。このスタイル。

さて、場所は、TBSの裏。わたしの勤務する会社からも、ほど近い赤坂地区の札所。
近いけど、なかなか昼休みに行くってわけにもいかず、週末に会社に寄る機会に行ってきました。

赤坂って、駅周辺から少し外れると、大きなお屋敷も並ぶ閑静な住宅街。
読んで字の如く、坂も多いし、そこから延びる小さな道も多いのです。

きっと大きな幹線道路が主要道路で、小道がここに住まう庶民たちの生活路だったのでは?と江戸の歴史を想像してみると、わくわくします。

このあたりは、お寺も多く、隣接していたり、お向かいさんだったり、表札をよく見ていないと、間違えてしまします。

さきほど、お話ししたとおり、「ピンポン」を押して対応して頂く必要があるので、間違えるとかなり迷惑…。

ご住職は、とても静かで柔和な印象で、いいおまいりができるよう本堂を開いてくださいました。
 全部で、10畳くらいでしょうか?
とても小さな本堂ですが、正面にはお大師さま。
お大師さまへ、日頃の暮らしや巡礼の感謝を申し上げます。





いつも仕事で通う街に、違った目的で訪れてみると、また新しい発見があって楽しいです。



それにしても、外から見たら、なかなか分からないよなー。







東京の寺院のなかでも、特に好きなのが、増上寺。
京都にも、奈良にも行けない休日。「あーーー!!お寺に行きたーーーーいッッ!!」と寺衝動にかられたとき、決まって足が向くのがここ。


実は、浅草寺も、とげぬき地蔵も、寛永寺も回向院もちゃんと行ったことはないので、東京にあるお寺をまったく知らないというのもある。でも、御府内八十八カ所めぐりをして気がついた、自分の好みのお寺。昔から日本史が大好きということも影響してか、政治と蜜月関係!?の寺院が好きなようです。

何を知らないほうが、感性だけで何かを感じることができるから、その方がよいのかもしれないけれど、ついつい頭が専攻してしまうわたしとしては、ちょっとした知識をもってから、お寺に挑んだ方がより楽しめるのです。




増上寺の面白さは、なんといっても、東京タワーとのコラボレーション。
きっとフランス人だったら、ここには建てなかったであろう、東京タワー。東京に居て、つくづく感じるのが、ちぐはぐな景観。

江戸の街と言えば、火事。江戸の三大大火をはじめ、廃仏毀釈、関東大震災、東京大空襲など、多くの火の粉によって、変化をし続けて来た東京。明治以降、京都や奈良は政治の中枢から外れていたこと、第二次世界大戦の戦火から免れたことによって、すばらしい古都の景観が残っているけれども、東京はそういうわけにもいかなかった。歴史的背景から考えても致し方ない。とはいうものの、やっぱり違和感。

でも、この違和感こそが、TOKYOであり、別の見方をすれば、新旧が混ざり合った、すばらしいカルチャーの調和なのかもしれません。


さて、増上寺といえば、徳川家の菩提寺として、江戸幕府を代表する寺院のひとつです。安土桃山時代、徳川家康が関東を治めることとなった際に、ときの住職“源誉存応(げんよぞんのう)上人”に深く帰依していたため、徳川家の菩提寺として選ばれたそうです。以前は千代田区平河町から麹町にかけて建立されていた、ここ増上寺は、江戸の南の“鬼門”を守るべく、現在の芝に移転されることとなったのです。




歴史的背景としても、かなり楽しめるお寺ではありますが、やはり現代の楽しみと言えば、この景色、この空間。港区芝といえば、高層ビルが立ち並ぶ、東京屈指のビジネス街。そこに「ポコーーン」と広がる境内。四季折々の木々と、東京のシンボル“東京タワー”。

いつもビジネスで頭をフル回転して、疲弊しがちだけれども、深呼吸して、ふと隣をみると、こんな近くに「なんだか異空間。時間もゆっくり流れていそうな広い境内。」休憩がてら、足を踏み入れてみると、やはりそこは別世界。絶えず流れる自動車の音と排気ガスはすぐそこなのに、なぜか門をくぐっただけで、凛として清々しい空気が流れているような、そんな不思議なところ。なぜか、今までビジネスいよる緊張でこわばっていた体にじわっと血液が流れ始めるのを感じる。力が入り続けていた肩も自然にストーーンと元の位置に戻るかんじ。

ふと周りを見渡せば、いつも見ている東京タワーやオフィスビル。わたしはここを、「東京のエデン(天国)」と呼んでいる。エデンは遠いとこにあるんじゃなくて、こんなに近くに在ったんだーと驚いたあの日から、わたしはここが大好きです。


そして、わたしがもうひとつ好きな場所は「千躰子育地蔵尊」。子供の健康や無事な成長を願うものです。

とにかく、無数の可愛らしいお地蔵さんがいて、みんな赤い頭巾を被っています。ひとりひとり、お顔が違うので、好きな子を探した結果、この手前の子が「わたしの中のナンバーワン」ということになりました。


東京の観光地らしく、ここの絵馬は外国の方のものがとっても多い。逆に日本人の絵馬を探す方が難しかったりして…。でも、願い事は万国共通「Happiness」。

さーーーて、焼き芋食べながら…



紅葉の旅に出ようっっ!

東京23区内の天然山で一番標高が高いと言われる愛宕山。
標高26mという小さな山の頂に佇むのは、「愛宕神社」。
たった26mなので、さっくりとのぼれちゃうこの愛宕山は、江戸時代の桜の名所。
現在の愛宕グリーンヒルズの桜も、永い年月をかけて、そこに根づいてきた大木がいくつもあるはずです。



さて、この愛宕神社。
創建が江戸時代。徳川家康の命で、“防火”の神様を祀られたのがはじまりです。
今も防火をはじめとした火に関すること、印刷・コンピュータ関係、縁結びや商売繁盛でのご利益があると言われています。


さて、区内で一番高い山と言えど、ここは東京都心部。特に高層ビルが立ち並ぶ、この港区エリア。オフィスエリアでもあるので、愛宕神社の周りの景観は「THE ビジネス」。すぐお隣にも、大きな高層タワービル。でも、その下には、小さな日本庭園。きっと周辺で働くビジネスマンの憩いの場となっていることでしょう。
今は葉が落ちてしまっているこの木々は、桜でしょうか?春になると、とってもキレイなんだろうなー。


こ、、この景色!
うーーーん。いかにも東京っぽい。これが、東京寺社仏閣さんぽの醍醐味です。
行ったことないけど、イメージ的に、ニューヨークのビル群×セントラルパークみたいな。


こんな風に鯉の餌付けもできます。
やっぱり古都の京都・奈良とは雰囲気が違って、どこか江戸っぽい。
鯉とか金魚って、江戸なかんじがしませんか?


昔、流行った「人面魚」って錦鯉だった気がするので、どうも金色の鯉をみると、人面魚チェックをする癖がついています。



本殿もわりと小ぶりで、ちょっと散歩に立ち寄るには、ちょうどいいです。
昼から六本木で、友達と待ち合わせをしているときに、ちょっと早起きしてお参りしながら、六本木まで歩いたら気持ちがよさそうです。
歩いた分だけ、ランチの美味しさも増す!?


無数の守護神、狐。なんだか、ちょっと怖い…。



 

ぽかぽかした、春のひだまり。やっぱり、気持ちよくって、白猫ちゃんもウトウト。
こっち向いてほしいのに、まったく向いてくれないところ。ちょっと寂しいけど、そんな自由気ままさが、私の性格に合っていて、「やっぱり猫がすき!」。

さて、帰ろう・・・。
実は、わたくし、この愛宕神社に裏から入ってしまい、危うく一番有名な名所を外すところでした。
東京名跡としても名高い「出世の階段」。


さて、「出世の石段」。どんなところかというと…。



ひ、、ひえーーーー!!
26mの山を一気に駆け上がる階段、とっても急勾配。


真下から見上げると、こんな感じです。。驚

ここは、愛宕神社の男坂と呼ばれるところです。なぜ、この男坂が「出世の石段」と呼ばれるようになったのか…。

それには、こんなお話が…。>>>愛宕神社の「出世の石段」のいわれ。

な、な、なんと、この階段を、“馬”で一気に駆け上がったヒトがいるらしい…。
人の勇気というよりも、馬の勇気にあっぱれ!よく登ったなーーー。お馬さん。

これを機に、全国に名を轟かせた「へいくろうさん」。わずか1日で全国レベル。
うーーん。出世のエピソードとしては、軽いかんじがするんだよなーーー、、なんて。笑

こんなエピソードも含めて、外国人観光客にも喜ばれそうな、東京の名所でした。












奈良に興味を持つまで、まったく知らなかった関東人のわたし。
伊勢から、京都から、大阪から奈良入りするときに、意外とお世話になる「大和西大寺」。駅の名前になるくらいだから、よほど有名なお寺なんだろう?くらいに思っていたのですが、意外と歴史の深いお寺で、意外とお世話になることとなった「西大寺」。

奈良と言えば...で御馴染みの「東大寺」に対して、「西大寺」。
奈良時代に鎮護国家と平和祈願のために建てられた真言律宗のお寺で、南都七大寺のひとつでもあります。南都7大寺とは、奈良時代に平城京とその周辺に朝廷の保護を受けて建てられたお寺で、興福寺、東大寺、西大寺、元興寺、大安寺、薬師寺、法隆寺のことを言います。奈良を代表する寺院ですね。

奈良時代を代表する官寺。官寺は、当時の国家と密接しているので、日本史好きのわたしとしては、とても興味深いので、特に好きです。やはり歴史の重みが違います。


ここ、西大寺は大きなお寺ではありますが、どこか少し風情があるというか、こじんまりとしているというか、なんだか居心地がよいのが印象的です。


金堂もわりと小さめ。人があまりいないことも居心地がよいです。
夏は、濃くてキレイな青空に、しっかりとした青々とした木々が印象的です。


秋になると、木々は赤や黄色に色づき、よりぐっと引き締まった印象になります。
この日は、近所!?の幼稚園のお祭りがありました。



可愛らしい子供たち。
ついつい夢中になって、シャッターをきっていたら、園児のママさんと間違われてしまいました。わたしの学生時代の友人も、かなりの割合で、すでにお母さん。園児を温かく見守るお父さん、お母さんと友人を重ね合わせながら、自分に子供が出来たことを想像してみたりなんかして、ちょっと物思いにふけるわたし。ってか、その前に結婚か...。

なぜ、写真を残さなかったのか、、とても後悔しているのですが、なぜかこの御神輿「ナポレオン」なんです。子供たちもみんな、「ナポーレオン!」「ナポーレオン!」って言いながら、担ぎます。「んんっっ??なぜ」ちょっと笑ってしまった、摩訶不思議なキンダーフェスティバル。

さて、このお祭りをあとにして、拝観に戻ります。




さて、西大寺といえば、こちらも仏像が有名なお寺のひとつです。

本堂には、文殊菩薩騎獅像。


獅子に乗る文殊菩薩さまとその脇侍である、善財童子優填王、大聖老人(最勝老人)、仏陀波利三蔵。この菩薩さまは、奈良のイケメンスター仏像としても、よく紹介をされています。切れ長のスッとした目と鼻筋からキュッと延びる眉。唇は紅くて、ふっくらしています。宝冠や装飾も豪華で、繊細。海竜王寺の十一面観音さまにも匹敵する美しさです。


そして、脇侍のなかでも、最も注目されているのが、前列左で手を合わせている、先導役の善財童子。やさしい眼差しで、獅子を見守っています。こちらの善財童子さま。最大の特徴と言えば、玉眼。水晶にひとたび光が差し込むと、命が宿ったかのようにイキイキとします。この仲間たち!?のよい雰囲気を作っているのは、間違いなくカレではないでしょうか?一番子供で、無邪気なんだけど、みんなの心を繋いでいる…そんな気がします。

こちらの仏像、86cmと少し小さめ。本堂の内陣の左右に位置する左の脇間にいらっしゃいます。脇間より外側の外陣から拝観をさせて頂くので、なかなか細部まで確認ができません。西大寺にお参りの際には、オペラグラスを持参されることをお勧めします。


そして、まだまだいらっしゃる西大寺の仏さま。


春秋の一定期間にしか、拝観できない“秘仏”の愛染不動明王さま。
愛染不動さまと言えば、愛を司る明王さま。真っ赤なカラダで、忿怒形の仏さま。
お不動さまと言えば、宝剣が特徴ですが、こちらの愛染明王さまは、弓矢と蓮華を持っています。髪は逆立ち、頭上には獅子、ワイルドな表情をしていますが、なんだか熱血漢な愛のキューピットのようで、私には可愛らしく感じます。

1.5mくらいの大きさを想像していましたが、こちらも意外と小さく、30cmくらい??
事前に本でさまざまな仏像をリサーチすると、わりとアップで映っているので、細部までじっくり観察できる大きさを期待すると、意外と小さなことも多く…。あと仏像までの距離が遠いとか...。オペラグラス必須だなーと改めて感じました。


夏に来たときも、秋に来たときも、人がまばらで、皆思い思いのペースで参拝しているのが本当に気持ちがよい西大寺。観光地化している寺院には、たしかに貴重な仏教建築や美仏の宝庫で、教科書で観たあれこれを実際に拝観できる喜びがあります。保存にも、すごく気を遣っていますし…。でも、地域の人に今もキチンとお寺として利用され、稼働しているかんじ。お寺ならではの静けさ…。この雰囲気が保たれているお寺がやはり一番気持ちがよいです。


参考出典:新版古寺巡礼 奈良 JRうましうるわし奈良 仏像は眼鏡をかけない

法華寺のすぐ真裏。
...なんだけど、ちょっと奥まっていて、とても静かな「海龍王寺」。

一番最初に佐保・佐紀路に訪れたのは、2013年の夏。
たしか、西の京から「暑い、暑い、」と独り言をこぼしながら平城宮跡方面へ、てくてく歩いてこのあたりを巡ったような気がします。スマホで地図を確認すると、このあたりなのに「まったく入り口が見つからない…」と法華寺周辺をぐるぐる周り、泣く泣く拝観を諦めた記憶があります。

そのとき、はじめて“秘仏”の存在を知りました。
法華寺・海龍王寺の十一面観音立像が、まさに“秘仏”、特別開帳の時にしか公開されないということで、秋にリベンジを誓い、11月のご開帳に合わせて、再訪しました。そのときは、なぜか割とスパッと見つかったこちらのお寺。「あのときは何だったんだろう…」と思っていましたが、10ヶ月経った今、やっと謎が解けました。

「8月12日〜8月18日は、お盆行事のため、拝観は休止。」

山門が閉まっていたのです。.....どおりで、見つからない訳だ。
経験者は語る、、こちらを観光する際は、お盆時期は避けたほうがよいです。



さて、前置きが長くなりましたが、こちらの海龍王寺。
わたしの好きなお寺のなかのベスト3には入る、これはもう素晴らしいお寺です。

まず一番最初に目を惹いたのが、ここ。


小さな山門と朽ちかけた土壁。
この壁のなかから、基礎の格子と藁が出てきて、なんとも風情のある山門。
天井からどこからともなく、生えてきた草の緑が、まさに日本の芸術。
日本の建築文化の象徴とも言える、この自然のアートが、わたしの心をわしづかみ。
まさに、一目惚れです。


土壁の入り口には、秋らしい木でつくられた風鈴。
陽がすこし傾きはじめた午後とこの景色が見事にマッチングして、心が躍ってしまいます。さて、境内い入ってみると…


やっぱり、素敵。
法華寺とはまた違う気品に溢れ、こじんまりとした隠れ家のようなお寺。
本当にゆったりとした、やさしい時間が流れています。
この日は11月の3連休でもあり、葉も色づき始め、お寺巡りに最適な時期です。それでいて、1年のうちでも限られたご開帳期間だったので、さぞ混んでいるだろうと思いきや、人もまばらで、静かだったことも、とても好印象でした。

山門から境内までで、完全に心を奪われてしまったわたしですが、ここのメインイベントは、“秘仏・十一面観音立像”。本堂に入ってみることにします。


ひ…ひゃーーーーー。。。う、う、美しすぎる、、。
90センチほどの小さな仏像に、煌びやかな装飾の数々。
純金の神々しいお肌の色と、緑ベースの衣に施された、精巧な文様。紅く染まった唇と蓮華の蕾。とにかく、繊細でキラキラしているのです。でも、すごく気高い品格があり、ゴージャスな印象ではあるものの、決して派手ではないのです。
細くすらっとした繭とくるっとした短いおひげ。すらっとした腕と長く細い指。
もうすべてが美しすぎて、なんとか目に焼きつけようと、衣の文様をじーーーっくりと見つめたものです。とにかく、美しすぎる、観音さまです。


なかば、放心状態で、本堂をあとにしたわたし...。
後々調べてみると、こちらのお寺は、飛鳥時代に創建をされ、遣唐使の航海の無事を祈願するお寺として建てられたのが始まり。今も旅行・留学祈願のお寺なのだそうです。

またこちらのお寺のご住職が素晴らしい。


「民衆に辻説法した鎌倉時代の僧のように、宗教者としての思いをもっと発信していかなくてはならない。」

海龍王寺のホームページの充実した情報、朝日新聞奈良版の連載、レギュラーラジオ番組、Twitter、Facebookなど、現在の情報ツールを生かしたリアルタイムの発信をされています。

こちらは、朝日新聞奈良版で連載されている記事です。
>>>人生あおによし

寺の跡取りとして期待されて産まれたのが女の子だったパターンのわたし。
この住職とは異なり、反骨精神で家を飛び出してしまいました。今はもう跡取りとして、実家へは戻れない状況ですが、寺で育った娘として、これだけ日本仏教に、日本文化に傾倒している身として、なにか発信していかなくては!と思っていたことと、この住職の思いが何か共鳴したような気がします。

ブログを拝見してみると、どうやら日本橋の奈良まほろば館で講演をされることがあるそうそうなので、是非一度拝聴させて頂きたいと思います。
今思うと、住職のアツい想いに、わたしの気持ちが惹かれて、なんだかわからないけど、すべてがすごくいい。。と思ったのかもしれません。

うん、知れば知るほど、大好きなお寺になりそうです。