蓮華王院 三十三間堂。

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京都で、人気な観光名所としても名高い三十三間堂。
本日調べたトリップアドバイザーの中でも堂々の6位。

ご存知のとおり、あの千体観音堂の仏像の壮大なスケールは、いつも圧巻です。
さて、この三十三間堂ですが、中央の「十一面千手千眼観音」さまを中心に、左右に500体ずつ、合計1001体の仏さまが並んでおり、そのすべてがご本尊さまです。

三十三間堂の一番の楽しみは、やはり仏像鑑賞。

150センチほどの、小柄な女性ほどの大きさの観音さま。その観音さまのお一人、お一人の表情や衣のシワの寄り方がまったく違うのです。パッと見は「みんな一緒じゃん。」と思うほどの巧妙な仏師の技術なのですが、よーーく見ると全然違う。
丸顔、面長、アジア系、切れ長系…ここに来ると、「必ず一体は自分に似ている仏像がいる」と言われるほど、さまざまな表情の仏さまがいらっしゃいます。

最前〜三列目くらいまでは、きちんとお顔を確認できるものの、中々後列までは難しい。
しかし、修復や保管の関係で、適宜並び替えて、安置されるそうです。何度か訪問して拝み続けることで、いつかご褒美として、自分に似た仏像さまに会えるのかもしれません。


そして、実は、わたしの好きな仏像は、この観音さまを御守りする二十八部衆。
千体観音さまの前に並ぶ、バリエーションに富んだ28体の仏像。
仏像と言えば、、、で、御馴染みの興福寺の阿修羅像。あちらは八部衆ではありますが、こちらの仏さまと同様に観音さまも御守りするお役目です。

さて、この二十八部衆。
カラスのお顔をした迦楼羅王(かるらおう)や琵琶を演奏する大蛇をまとった摩睺羅伽王(まごらかおう)など、まったく異なるお顔と衣装を身にまとっているで、きっと子供も楽しいはず。そのなかでもわたしの一押しは、婆藪仙人(ばすせんにん)。

やせ細った身体のおばあさんのような、おじいさんのような…。
きっと夜に出てきたら、最も怖いであろう、老婆のような出で立ちです。
あまりにも、人間っぽいからか、なぜかこのような骨が浮き出そうな細さの仏像に惹かれる傾向があります。筋だったり、骨の精巧な造形美を感じられるからでしょうか?


三十三間堂は、仏像だけでなく、日本史好きとしても、外せないスポットのひとつ。
創建は、わたしの大好きな平安時代(1164年)に、平清盛が後白河上皇の院政庁である「法住寺殿」の一画に増進したと言われています。

武家が台頭するきっかけともなった、平氏の隆盛。
そこに欠かせないのが、上皇と平氏との関係性。この時代、政(まつりごと)の軸ともなっていたこの時代の仏教。仏に祈り、国を統治していたとも言えます。仏像、御堂の寄進が、国づくり、御上(おかみ)に大きな影響を及ぼし、国を変えるちからや、権力の象徴となりました。

平氏が財を投じて行った、この蓮華王院の寄進、高野山の根本大塔の再建、厳島神社の創建など、神仏を信じるちからの強さを感じます。またそのような時代を経て、現在の日本があること、そして、そこから大きな学びを得ることができる喜びが、ひしひしと胸に刻まれます。


なにより、一番素敵に感じることは、歴史を辿る観光スポットとしてだけではなく、
今もお寺としての役割を保ち続けていること。

お坊さものお姿を見つけて、「お経」の祈りとともに、何十年、何百年、何千年...と後世に、仏道のお導きが「ヒトを成長させる」糧となってほしいものだと感じました。

日本の寺社仏閣は、一種の政(まつりごと)のために創建されたところも数多くありますが、仏さまに真摯に向き合い、祈りを捧げるヒトたちによって、どんどん浄められて、ヒトの心に光を与える場所になっていくのではないでしょうか?


たくさんのことを感じられるからこそ、そして感じきれないからこそ、何度も訪れたくなるのがこの三十三間堂。なんだか、そんなところです。


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