言問通り沿いに佇む、管理の行き届いた美しいお寺。
小さな敷地に広がる日本庭園は、5月らしく、力強い緑に染められていました。



この写真。
左をよく見てみると、今年のタケノコが「竹」に成長しています。
まだまだ先には、皮が残っていて、これから夏にかけて剥けていくのでしょうか?

都内で、まさかこんな光景に出逢えるなんて、ちょっと得した気分。


日本の草木と建物の風情を感じながら、遍路散歩を楽しむ…。
「とても贅沢で、ありがたい」
訪れる札所の数が増えるたびに、思いが深まります。

「東風茶美」???
調べてみましたが、わからず・・・。うーん、まっいっか。

常に理由が知りたくなって、質問したり、調べたりするのが「癖」になっているわたし。
ただ、「ふーーん、そうなんだ。」って受け入れることも大切なような気がしている今日この頃です。
 
 






こちらも一見すると、素通りしてしまいそうな、邸宅のたたずまい。
浅草には、「成就院」という名前のお寺が2つあります。

区別するために、こちらは通称「百観音成就院」と呼ばれています。

なぜ、百観音?
江戸時代には、百体の観音さまが祀られていたと言われていることから、このように呼ばれるようになったのでしょう。

現在は、聖観音さまが祀られているそうです。



本堂は、とても可愛らしいポップな色づかいで、まるで北欧家具のよう…。
春なのに、手前の紅葉のような葉が真っ赤に色づいて、なんだか不思議。
門からは見えないこの御堂。
入ってこないと、この可愛らしさには巡り会えないと思うと、なんだかニクい演出(?)



境内には、人懐こい「野良猫」ちゃん。
お寺って、飼い猫も含めて、「ねこ」率が高いような気がします。
東京の他のお寺でも、奈良のお寺でも、そして、わたしの生家も、「ねこ」います。

そして、決まって人懐こい...。
目やにが気になるけど、可愛いです。

さて、この成就院さま。
巡礼者のためのお土産を色々とくださいました。


まずは、巡拝記念のガーゼ。
ずっと巡礼し続けるヒトのために、昔からのしきたりなのだろうか?
「巡拝_ガーゼ」で調べてみると、たしかにお遍路グッズの一部。
タオルとしても使えて、怪我などの緊急処置の場合にも重宝するという理由だろうか?
うーん、意味は分からないけど、巡礼を応援して頂いているようで、とても嬉しい。


そして、寺院名入りの炭酸せんべい。

鞄に入れていたら、見事に割れてしまいました…涙
この寺院名の繊細さが好きです。

巡礼者にこのようなプレゼント...。
本当に有り難い限りです。ステキなのでとっておこうと思いましたが、折角くださったので、感謝の気持ちで頂きました。

抹茶味の甘味がついていて、とっても美味しかったです。

このようなきめ細やかなお心遣い、すごく心に染み入ります。
こんなちょっとしたおもてなし、仕事やプライベートで取入れたいと思います。

浅草の人情を感じられる、とても有り難いお寺です。




この手の門構えのお寺、ホントに多い…すぐにブログに反映しないとダメですね…
延命院と、かなり間違えやすい正福院。…いうか、間違えました。

こちら、小さな境内ではありますが、とても興味深い石仏がいらっしゃいます。
なんだか気になって、ついつい立ち止まってしまいます。

ちょっと珍しい?
関西ではなかなか見かけないけれど、関東圏で見かける白衣観音。


以前に、ご紹介した「大船観音寺」の大仏も、白衣観音さまです。
白衣観音さまの袈裟は、僧が切るものではなく、在家が着る白い袈裟を羽織っていることから白衣観音と呼ばれているそうです。

また、こちらの観音さまは、通称「マリア観音」と呼ばれており、隠れキリシタンの方たちが、マリア像として崇拝されていたと言われています。

長崎にも多く点在しており、五島列島にも有名な白衣観音さまがいらっしゃるとのことです。たしかに、一番母性を感じる仏さまですね。




そして、何よりわたしが一番気になったのがこちらのお釈迦さまとお地蔵さま。

なぜか、右目に切り傷…。「森の石松」を思わせる、すこし暴れん坊の仏さま。
お顔の表情にすこし険しささえも感じます。

でも、なぜにお釈迦さまもお地蔵さまも、お二人とも傷が出来てしまったのでしょうか。

こんな発見が、お寺めぐりの楽しさだったりもします。
あらたな仏像との出逢い、好きな仏像との再会が楽しくて、仕方がありません。















モダン… 。
ちょっとカッコよすぎやしませんか?

と、問いかけたくなるような最先端のデザイナーズ寺院。
こんなに洗練されてしまうと、ちょっと近づきづらい気持ちもありますが、そろそろご朱印慣れもしているので、まずは中に入ってみます。

なんだか、青山の根津美術館に似た雰囲気です。
日頃は、不動産の仕事をしているわたし。やはり気になるのは、設計…。

調べてみました...。

どうやら、こちらの設計は、竹山聖氏率いる設計組織アモルフ。
OXY乃木坂や強羅花壇の建築などで受賞歴もある有名な建築家。
京都大学の准教授でもあり、著書も多数あるようです。



どうやら、こちらの威光院は、2012年に竣工。日本の現代建築らしい造りです。

ちなみに、建て替え前はこんなかんじ。  → 参考:今御朱印研究室


明治っぽい?異国情緒のあるピンクの柱。
こちらも素敵です。

というわけで、中へ入ってみると、
実に優しい奥さまが迎え入れてくださいました。

ご朱印をご用意して頂いている間に本堂へ。
黒い石の廊下が続き、コンクリート打ちっぱなしの壁には、ちょうどよい高さに、絶妙な大きさの窓。


境内の景色が、まるでひとつの絵画のように映ります。

やっぱりお寺というよりは美術館。

本堂もそのまま土足で、モダンな雰囲気が続きます。
こちらは、安藤忠雄氏の石の教会を思わせるようなイメージ。

あまり建築に詳しくないので、ツウの方から言わせれば、全然違うし…と言われるかもしれませんが。

ここで興味深かったのは、四国八十八ヶ所のの集印掛軸。
どうやら、檀家さまからの寄贈品のよう。

いつか挑戦したい四国遍路に想いを馳せて、
かっこよすぎるジャパニーズアーキテクチャをあとにすることにしました。

ご朱印の文字もなんだか、モダン…。





浅草の住宅街のなかにひっそり佇む、こちらの延命院。
東京のお寺の多いこの門構え。あまりに似ているお寺が多いので、一気に複数周ると記憶が曖昧になります…。
一見すると、とても静かな個人の邸宅のようですが…


中へ進むと、瓦葺きのスタンダード?な本堂がありました。
こちらのお寺も清掃が行き届いていて、季節の鉢植えも大事にお育てになっていることがうかがえます。



そして、閉まっていた本堂の扉をわざわざ開けてくださいました。
ここでも、お大師さまへの感謝の気持ちを込めて、般若心経を唱えます。

寺院めぐりをして、いつも思うこと…。
 
境内に入ったときの、空気の切り替わる瞬間。
巡るたびに、体の中から感じる浄化の感覚。

この心地よさが、日頃の自分自身の軸のブレを治してくれている気がします。












日本舞踊?お茶?生け花?の先生のお稽古場兼ご自宅かと勘違いしてしまうコンクリート打ちっぱなしのモダンな建物。

お寺というと、やはり瓦葺きの御堂のイメージが強いので、なかなかこのモダニズムが浸透しないわたし。
でも、この近代建築が、いかにも「東京」というかんじがするので、「あー、東京の寺院めぐりをしているんだな」と改めて実感する時だったりもします。


コンクリートの冷たさのなかに、きちんと植栽や石仏などの設えが施されていて、
東京ミッドタウンなどの、日本を代表する近代建築に近いものを感じます。
わたしは自然の古くて、すこし寂れたかんじより、こういう洗練されたほうが好きだったりします。

さて、中にお邪魔すると、とても優しい奥様がお出迎えをしてくれました。
「若いのに、偉いねー」と褒めてくださる奥様。
寺ガール?御朱印ガール?が増殖しているものの、マニアックな巡礼をしている若者はまだまだ少ないようです。

色々とお話をしていると、なんと「巡礼者の皆さんにプレゼントをしているものがある」と机のなかから、とてもステキなモノを取り出してくれました。


なんと、般若心経と観音経の経本。
しかも、このステキなパッケージは、奥様の手作り。
色々な種類を選ばせてくれます。

巡礼者としては、一番嬉しいプレゼントではないでしょうか?
やはり、ただ御朱印を頂くのではなく、一寺一寺きちんとお大師さまを拝むことが大切。
改めて、巡礼とはなんぞや?ということを考えるきっかけとなりました。

こちらがご訪問をさせて頂いているにもかかわらず、このお心遣い。
本当にありがたく、気を引き締めて、巡礼を続けたいと思いました。


そんな意を決した心持ちで、奥様とお別れすると、外にはお大師さまが…。
今にも動き出しそうな、足を一歩前に進めたお姿が、これからの巡礼者の目指す姿のようにも感じられます。

奥様のお心遣いへの感謝とともに、次のお寺での出逢いを楽しみに行ってまいります。




重厚な山門が、かなり入りづらい雰囲気の…龍福院。
こちらは、木版浮世絵師の最後の人と言われている「小林清親」氏のお墓があります。
美術史にまったく疎いわたしは、分からず…。


COPYRIGHT (C) KEIO UNIVERSITY ALL RIGHT RESERVED.
結構、いろんな大学や美術館に作品が展示しているようです。
江戸末期〜大正にかけての浮世絵なので、明治維新以降の近代的な建物などが表現されてるのが、浮世絵のなかでは斬新なかんじがします。


ちょっと躊躇してしまうこの鋼鉄の山門。
しかし、せっかくここまで来たのに引き返すわけにはいかない!
そーっと門を開けて、中に入ると…やっぱり不審がられました。

御府内めぐりをしている旨を伝えると慣れているのか、すぐに対応してくださいました。
あまり歓迎されていない様子でしたが、わたしも元々は寺族なので気持ちはよくわかります。


瓦葺きの屋根とてっぺんの塔は、すこし中華風の本堂。
やはり中国仏教の影響は色濃く残る真言宗だからでしょうか?

建物を眺めつつ、本堂の外からお参りを済ませ、早々にこちらを後にすることに...。
江戸御府内八十八カ所巡り、各寺院の方々にご協力して頂けるからこそ、できること。
そのことに感謝することを忘れてはいけませんね。




小ぶりなビルが建ち並ぶ通りに、異質な雰囲気を漂わすのは、やっぱりお寺。

清掃が行き届いていて、本当に大切に管理されていることがうかがえます。
この田原町〜稲荷町にかけての界隈は、寺町になっていて、真言宗の寺院以外にも、曹洞宗、日蓮宗、浄土宗などの多くのお寺が混在し、迷いやすいのですが、こちらはとても分かりやすい場所に位置しています。





境内は、緑と季節の花々に囲まれ、とても清々しいです。
この日はつつじが満開で、お堂に絶妙な差し色が入って、撮影の楽しさがグンと増します。


こちらでは、本堂のほかに、弘法大師堂があり、こちらをお参りしてくださいとのこと。
お大師さまに想いを馳せて、ふーっと深呼吸をすると、格子のガラスに映る境内の景色がとても美しい。
東京の雑踏とパソコンばかりを眺める毎日ですが、こういうふとした風景に、生きていることの喜びを感じます。


本堂に戻り、ここに来させて頂けたことを感謝すると、ここにも素敵な風景画。


豊かな気持ちになれるこちらのお寺。
そのお心遣いは、こんなところにも現れていました。


相手を思う心。
うん、つい忘れがち…。
そうなんですよね、相手がいるから、自分という存在を認識できる。
本当にに生かされていることって有難いです。

















東京メトロ銀座線 稲荷町から田原町にかけて、浅草界隈の札所が九ヶ所あります。
とりあえず、この日の予定は、田原からスタートして、ぐるっとまわってから、芸大美術館の法隆寺展に行こうと思います。

そんなわけで、まず一番最初は、駅から一番近い不動院。東京らしい小さなお寺です。
町の寺子屋塾のような玄関には、やさしいご住職と息子さんと思われる小学生の少年。

一生懸命書道の練習をしていました。
その横で、サラっと御朱印を書いてくださるご住職。

この何気ないお寺の日常感が、まるで私の小さな頃を投影しているよう。

御朱印を書いて頂いている間に、わたしは本堂へ。
普段は地域の檀家寺院かと思われるこのお寺の御本尊は、明王さま。
やはり、不動院という名のとおり、お不動さんです。

数珠を取り出し、手を合わせると、自然に般若心経が声に出るわたし。
高野山別院で御朱印帖を見つけたから…と軽い気持ちで始めてしまった御府内八十八カ所巡り

でも、実際に巡礼をはじめると、ただのスタンプラリー的なものではなく、
きちんと本堂の御本尊さまをおまいりして、身を浄める?ような儀式的な感覚になります。


そして、帰り際に、ご住職から「もう浅草は周られましたか?」とお言葉をかけてくださいました。
「いえ、これから参ります」とこたえると、浅草九寺の地図をくださいました。

iPad に住所入力して、充電気を気にしながら、歩いていたわたし。
この日はあいにくの雨と言うこともあって、紙の地図を頂けるのは本当に有難いです。

帰り際、お坊ちゃんが「バイバーイ!」と元気よく見送てくれて、
浅草の人情をジーンと感じた浅草寺参りのスタート。







高野山への参拝を控え、心高ぶる3月下旬。
高野山について調べていると、なんと東京に別院があることが判明。
これは、高野山の弘法大師にお会いする前に、ご挨拶せねばと思い、足を延ばしてみることにしました。

泉岳寺から民家を抜けつつ歩くと、東京のお寺にしては広い境内をもつ高野山別院。
お彼岸の中日にもかかわらず、人はかなりまばらな様子で、とても静か。

キレイにコンクリートに舗装整備された境内は雰囲気に若干かけるものの、
清潔感があって気持ちがよいです。


まずは、本堂。
格子の扉を開けると、薄暗いなかに、ロウソクの灯火とお線香の香り。
特に大きな仏像があるわけではなく、奥にひっそり佇む大日如来。

扉の先のこの空間は、まるで時が止まっているかのような、すこしピリッとした雰囲気。
でも、この心地よい空気感が日頃の世俗にまみれた毎日から、スーッと解放されます。
大きく深呼吸をしながら、お堂に佇んでいると、心が軽くなり、感謝の気持ちが生まれてきます。
仏教の教えを説き、日々修行に励む本当の意味での役割を果たしているお寺は、放っている気のようなものの質の良さを感じます。



清々しい気持ちでお堂をあとにして、ちょっと境内を散策。
まずは不動堂。密教では重要な役割をもつお不動さま。
割と小さな御堂で、明王さまとの距離の近さに驚いたけれど、ここでもきちんとご挨拶をさせて頂きました。

そして、ここにはなんだか、興味深いものがたくさん。


まずは、水と地蔵のマリアージュ!?
まるでアート作品によう。
表情豊かなお地蔵さんは、涼しげなだったり、無邪気だったり、可愛らしい。


いつも思うのだけど、このお帽子とよだれかけ。。
なんで赤いんだろう?誰が作って、誰が洗濯を?

そんなことをおもいながら、お地蔵さんを眺めていると、とっても満たされた気分になります。



そして、真言宗の寺院と言えば、必ず!と言ってもいいほど、出逢う弘法大師像。
托鉢?安行?を行う弘法さん、魂が宿っているかのようで、何かを語りかけてくださっているような感じがします。

境内には、
四国八十八箇所めぐりの札所とともに、八十八体のに如来像や菩薩像。
第一から第四までのエリアに分かれています。


どうやら、ここをお参りすることで、四国八十八箇所巡りをしたことになるとか。

いやー、それはあかんやろ!?
いつかは絶対に巡りたい四国八十八箇所。

さて、お堂も境内も十分に堪能させて頂いたところで、社務所へ。
御朱印を...とおもったら、興味深い朱印帖とそれに関する本が数冊。



御府内八十八箇所巡り!?
本を開いてみると、なんと東京でも弘法大師ゆかりの八十八箇所巡りができるとのこと。
どうやら、江戸時代に出来たらしい。

エリアを見てみると、ほとんど23区内に集中しています。
さっきの四国の札所と仏様に影響を受けたことと、板東三十三箇所巡りを検討していたわたしは、即座に、今年は御府内八十八箇所巡りをおこなうことを決めました。

これだけ日々寺院を訪れるにあたり、なにか目標となることをしたい。


関西圏のお寺は、歴史と由緒あるお寺が数多あり、何度訪れても足りないけれど、
なかなか東京での楽しみ方を見出せない。
東京での寺院めぐりに迷走していたわたしに一本の大きな光が差しました。

ここに来させてくれた仏さまのお導きに感謝をするとともに、清らかな気持ちで巡礼をしようと心に決めたすごく意味のある1日になりました。